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炭火の話

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これであなたも焼肉通。知って得するウンチク話

  • 炭火の再登場

    今でこそ炭火焼肉がある程度認知されていますが、戦後の草創期は別にして、‘60年代から焼肉店の熱源といえばガス火のロースター。今も主流であることに変わりありません。もっとも当時は排煙設備も立派なものはなく煙ボウボウの店内(今、あえてそれをウリにしている店も、あることはありますが…)。テーブルも壁も油がギトギトしていました。‘70年代中頃、無煙ロースターが開発されて瞬く間に全国を席巻、様々な形にバリエーションを変えながら今日に至っています。

    一方、新たな排煙設備の開発と共に草創期以来の再登場を果たし、20年程前から徐々に増えてきた炭火焼肉でも形態はいろいろ。
    ①ガス無煙ロースターのようにテーブルの天板をくりぬいたスペースに、他の場所で起こした炭を入れ、煙は天板の下の排気口にに吸いこまれるタイプ
    ②天板の上に七輪を置き、煙は天井側から伸びたフードに吸いこまれるタイプ(当店)
    ③ガス無煙ロースターに炭を置けるようにして、テーブルごとにガスで炭火を起こすタイプ――などがあります。

  • 焼肉を身近にしたガスロースター

    ホットプレートがなかった’60年代初めの私の子供時代、我が家では父親がどこからか手に入れた、当時の焼肉店と同じ業務用のガスロースターが大活躍しました。四角くて白色の、底に水をためてガスを点けるタイプです。肉に直火があたらぬよう、バーナーの一部分が金属カバーで覆われていました。まだ鉄板プレート(ロストル)は開発されていなかったのか、ただ網を置いて焼いたと記憶しています。勿論、家中の窓という窓を全部開けて。
    暖をとるのにまだ練炭火鉢が残っていた時代ですが、不思議と家の中では七輪で肉を焼いたことがなかったと記憶しています。

    何よりガスには①一発で火が点く②火力を調節できる――という単純明解にして最強の、現代でも変わらぬメリットがあったからだと思います。
    火起こしの面倒が解消された分、当時の我が家での焼肉の頻度が、それまでに比べ明らかに増えただろうと思われます。多かれ少なかれ、在日の家庭ではガスロースターの恩恵にあずかっているのではないでしょうか。勿論、焼肉業界の伸張にガスが多大な力を発揮したことは言うまでもありません。

  • 七輪のロマンと科学

    野外で火を起こす大変さはありますが、青空の下、爽快に、豪快に七輪を囲んで食べる焼肉は最高。どんな焼肉店の設備をもってしても、それに勝るものはありません。また、夜の帳(とばり)が下り始めた頃、七輪の中で燃える炭の炎を見ていると、遥かいにしえの時にタイムスリップしたような、何やら和らいだ、癒された気分にさせられます。これこそ七輪(炭火)焼肉の”ロマン”、最大のメリットといえましょう。

    それに加えて、実際、炭火で焼くとガスより肉がおいしい。お肉をおいしく焼くには炭火が最も適しているといえます。それには科学的根拠があるのです。
    まず押さえておきたいのは、焼肉に直火は向かない、という点。肉に直接火が当れば直ぐに焦げるだけ。言うまでもありません。今日最もポピュラーな鉄板(ロストル)タイプも直火に当てず、下からガス火で熱せられた厚い鉄板で肉を焼きます。鉄板にはスリット(隙間)が切られ、余分な油が落ちるようになってはいますが、網で焼くほどは当然落ちません。
    また、ガスが燃焼する時に水蒸気が発生、炭火に比べ香ばしさが失われるうえ、逆に不均等な対流熱が素材のみずみずしさを奪うとのこと。
    これを解消するため、近年、直接ガス火を触らせぬ媒体としてセラミックや溶岩石をロースターに備えつけ、炭火と同様に遠赤外線効果を出すタイプのものが開発されています。

    一方、炭火は網で焼いても直火が肉に触れることがありません。よく火の通った炭は炎が上がらず、チロチロと赤く燃えていきます。脂気の多い肉から融けた脂のしずくが炭火で燃え上がることが、まれになくもありませんが…。
    遠赤外線の輻射熱で肉の表面だけなく内側まで比較的均等に火を通すことができ、炭の燃焼時に発生する一酸化炭素の作用で肉の酸化が抑制されます。さらにカリュウムを多く含むアルカリ性の灰が肉の酸性を中和し、まろやかに焼きあげる、といわれます。
     
    と、ここまで書くと炭火が圧倒的に優れているようですが、そんな炭火が主流にならないのにも訳がありそうです。

  • 揺るぎないガスロースターの座


    炭火の難点は一言で、まどろっこしいこと。焼くのに時間がかかるし、網の端と中央で焼け具合が違ったり、肉ののせ方にも気を使います。網いっぱいに肉をのせると、七輪が肉でフタをされた状態になってしまい、酸欠から炭火の力が弱まります。「炭が燃えてないよ」と呼ばれると、大体はこのケース。焼くのに時間がかかる上、網にのせるにも気をつかう、ではイライラがつのりますね。意外にこれは大きなデメリット。
    その点、ガスロースターならロストル(鉄板)の熱がどの位置もほぼ均等、焼き方に気をつかわず誰が焼いてもおいしく焼けます。ちょうど自動車のマニュアルミッションとオートマチックに例えると分かりやすいかも。慣れた人ならマニュアルミッションの方が燃費もいいし、ファン・トゥー・ドライブ気分。だけど万人には不便。オートマチックの方は誰が運転してもそこそこいい燃費だし、クラッチ操作に使う神経を周囲の状況把握に回せる分、不慣れな人でも不安が少ない。
    炭火とガスもそんな違いがあって、ガスの主流の座は揺るぎないのかも知れません。

    もう一つ、炭火の環境的デメリットにも触れざるを得ません。ガスは一発点火なので気ままに火を消せますが、炭火は一度テーブルにのせると大体の場合、最後まで火をつけたまま置かれ続けます。夏だとこれが室内の気温を上げ、エアコンの温度設定、作動時間にも大きな影響が。 実は炭はテーブルにのる前も当然、火起こし場で燃やし続けられています。エネルギーの効率面でもエコではありません。さらに炭場でで出る灰は微量ながら周辺を覆いますし、永い目で見ると、清潔面でも余分な労力と負担がかかることになります。 そして、これはお店のオペレーションの問題になりますが、料理の盛り付けが出来上がっているのに、七輪ができないのでディッシュアップカウンターで待機とか、店内が混雑すると七輪の設置や炭の補充に人をさかれることで提供時間が押したりと、お客様にご迷惑をおかけしています。

    焼肉には炭火が一番、との思いから七輪焼肉を屋号に冠した店を始めて15年近く、ごひいきのお客様を裏切るようですが、今からでもガスにすべきでは、と心が揺らいでいます。
    あ、昔からの有名店はほとんどガスですね。

    2016年5月、かねてからの逡巡の末、屋号から「七輪」の看板を下ろし、当店はガス化を実施して「焼肉 舜」として出直しました。 理想の炭火かトータルバランスのガスか、最後に踏ん切りを付けさせたのは、妻の腱鞘炎のまま重い七輪を持って小上がりに上がるのはシンドイ、の言葉でした。思えば息子も閉店後に汚れた七輪を黙々と洗うのが日課、これがあるので閉店作業を終えて床に就くのは夜明け前。家族で長く店を続けるためにもガス化を決断しました。今後はこれまで炭火に費やしてきたエネルギーを、店舗のパフォーマンスの充実に努めたいと思っています。

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